地域おこし協力隊って任期3年終わったら、何してるの?
そう疑問に思っているのは私だけではないはず。そんな地域おこしを主軸にした人達のお話が聞けるどころか、一緒になって何をしようか考える会がある。と教えてもらい参加したのが、信州移住計画さん主導の「地域おこし未来ラボ」。
「地域おこし未来ラボ」は、信州移住計画のメンバーが主催となって地域おこし協力隊&地域での暮らしと営みを考えているみなさんを対象に「3年後の自分のリアルを考える」というテーマで、長野県小谷村の古民家宿梢乃雪で開催している未来共創イベント。
本イベントでは未来への種を見つけ、撒き始めるところまでを趣旨としている。
実際に私が参加してみて、どんな事をして、なにを得て、不安で足踏みしていた私が行動するに至ったのか?を順を追ってお話しします。
目次
基本情報
名称:
地域おこし未来ラボvol.2
日時:
2018年11/13(火)~14(水)
場所:
長野県小谷村「梢乃雪」
テーマ:
「3年後の自分のリアルを考える」
対象:
地域おこし協力隊&地域での暮らしと営みを考えている人
主催:
信州移住計画
ファシリテーター:
山田崇、たつみかずき
金額:
13,000円(宿代込だが、他実費がいくつかあり)
vol1については、下記記事ご参照ください。
信州への「入口」を創る民間人の集まり。意識と志の方向性が近しいDIY精神を有する愉快な仲間たちであり、信州長野県との「繋がり」「接点」を持ちたいと考える人達と、地域を繋ぐ仲介者であり媒介人。
来た人への「漏斗(ろうと)」の役割を担う、ソーシャルな民間の窓口機関です。(公式HPより抜粋)
どんな人が主催し、どんな人が参加したのか?
[信州移住計画メンバー]
山田崇(山田さん)

行政ではまだ旧態と新風が混在していてなかなか進まない。やりたい事は一市民として、自腹を切って公務員とは別の時間にやっている。と語る。
・塩尻市役所企画政策部 地方創生推進課シティプロモーション係長/空き家プロジェクトnanoda代表、信州移住計画元代表/「地方創生協働リーダーシッププログラムMICHIKARA(ミチカラ)」発起人/ソフトバンク地方創生インターンシップ「TURE TECH」担当/Career For(一般社団法人 地域・人材共創機構)参画。他数々の地域創生プロジェクトに参加している。
たつみかずき(たつみさん)

棲家も生業も選択できる自由な未来の創造を目的に掲げ、その一環の中で本イベントを開催。
・信州移住計画現代表/LODEC Japan合同会社代表。
大阪出身長野県北アルプス山麓を拠点に二軒のゲストハウスとシェアハウスの運営を行っている。
2015年よりLODEC Japan合同会社を設立し地域と人を繋ぐことを生業としている。
増村江利子(えりこさん)

消費しないのはもちろん、消費されない暮らし方がこれからは大事なんじゃないかと語る。
・フリーランスエディター(主なテーマは、アート、建築、暮らし、まちづくり)八ヶ岳の麓の賃貸トレーラーハウスで、DIY的暮らしを実践中。
三枝大祐(大ちゃん)

場所よりも、そこにいる人が価値。そう思って塩尻やスナバに来て欲しいし、そうなれたらどこでも生きていける。と語る。
・塩尻市役所企画政策部 地方創生推進課地域ブランド創造係主事/シビックイノベーション拠点「スナバ」運営/出張お好み焼屋店主
[ゲストスタッフ]
瀧内貫(タッキー)

熱意を持ってアクションを起こす人を見ていると「もっとこうすれば良いのに」「こうしたらもっとスムーズな筈」と思うと、気づいたら整理・課題解決に手をかしてしまっている。と語る。
・長野県 長野市在住/長野県立大学 地域コーディネーター/まちの教室 ディレクター/株式会社コト社 代表取締役
[参加者]
常田圭一郎(とっきー)

田舎に住んでいるけれど、月2回位は東京行って仕事している生き方が理想の未来像。
・長野県佐久穂町地域おこし協力隊/農家民宿内津亭管理者
榎本仁美(ひとみさん)

任期2年目を終えるにあたり、このままでは終われない!と定住を決意した。
・木島平村地域おこし協力隊/道の駅FARMUS(ファームス)木島平「窓口(兼イベント屋)」/NPO法人太陽と水と緑のプロジェクト理事/
アオキゲンヤ(私)

自分が良いと思った長野県や安曇野の魅力を内から外に発信していきたい。
・安曇野地方の移住と映画についてのブログ執筆中/安曇野 cocinema代表イベンター
信州移住計画の4名、ゲストスタッフ1名の5名。
参加者3名による少数濃密形式。
信州という地域の中で、生業をすでに成している方がスタッフ。
これから生業を作り出したい人達がメンバーでした。
先を行く先輩(というか先生)と同じ志を持った仲間(生徒)という形のミニ学び舎な雰囲気です。
宿は、長野県小谷村の”誰でも里帰り気分になる宿”梢乃雪

絵に描いたような山麓の田舎にある、築150年の風情たっぷりな古民家です。
コーギー犬のアノンちゃんがいきなり出迎えてくれたり、スタッフのぐっさんとちかちゃんが妙に所帯感あったり、たつみさんのお父さんが二階で住んでたりと、我が家感がすごいです!

ご近所の養鶏場にて朝活卵とり。産みたての卵は温かかった。

採りたて卵で、みんなで朝食(もちろんTKGした)
二日目にはもはや完全我が家化。次行くときは、間違いなく里帰り気分です。
実際一人で来る方や、リピーターが多いと店主のぐっさんも話していたのに納得です。
プログラム概要

地域おこし未来ラボvol.2プログラム

プログラムは、基本的に上記コクリの原則に沿って進められました。(コクリプロジェクトHPより抜粋)
[1日目]進化思考で、「自分の関心のある自分に深く入り込む」

プログラムに入る前にチェックイン、声出しワークを何度もし全員にとって安全・安心な場づくりを念入りにする。
太刀川英輔さん(NOSIGNER代表/コクリ!ディレクター)が、自ら編み出したワークショップ。生物の進化のプロセスを発想のためのメソッドに応用して、人の創造性を高め、社会が変わるような新しい価値を生み出そう、というもの。大まかにメソッドを言えば「関係性→変異化→関係性→変異化」の繰り返しです。
(コクリ!プロジェクト「進化思考入門」より抜粋引用)
詳細なメソッドや背景については下記ご参照ください。
行った「進化思考」ワークは2つ。
3年後の自分を見据えて
- 「進化させたい事柄を決め、歴史的・状況的関係性を洗い出す」
- 「進化させたい事柄を要素分解し、欠損変異進化させる」
※変異進化には6つの変異方式
(欠損、代入、擬態、変化、融合、集合)があり今回行ったのは欠損。

私は「地方ライター」と決めた。(photo byコクリ!プロジェクトHP)
やったことをも要約すると、
とにかく考える。書く。考える。書く。の繰り返し。
・①自分が進化させたいものを見つけ出すための書き出し。
・②①の要素分解。
・③②で分解した要素を欠損「〜ない」状態にする。

(例)進化思考では、車=「馬のない(欠損進化させた)馬車」というイノベーションになる。
洗い出しの中で見えてきた、自分が今最も関心のある事柄を浮き彫りにし、そこにイノベーションの種を植え付ける作業でした。
「他者との対話を通して普段、自分が言わないような事柄に意識を向ける」

それぞれが書いた「進化させたい事柄」をシェア。
関係性を洗い出し、欠損変異進化させる中で、都度それぞれの書いた事柄を皆に発表共有しフィードバックをもらいます。
メンバーが書いている要素には、自分の頭の中にはなかった大切な事がいくつもある。
暮らし方、自分のあり方、地域への公共性を保持した稼ぎ方、具体的な空き家対策への示唆、自分ではスポットを当てにくい部分や、気づけなかった部分にまで光が当たるのが分かりました。
一日目が終わり、温泉に浸かった後は囲炉裏鍋で、夕食と酒盛り。
小谷村は源泉がなんと14も存在する一大温泉地帯!

うまい酒あり、熱いトークありで、とても楽しかった!
[2日目]マインドフルネスとリソーシングで「自分の根っこの想いを知る」

ドラッガースクールのジェレミー・ハンターが提唱したセルフマネジメントにおける「自らの意識状態に注意を払う事のできる状態」をいいます。
・リソーシングとは
こちらもマインドフルネスへのトレーニングの一種。自分の人生に起こっているいいこと、うまくいっていることに注意を向けて、たくさんの選択肢を意識すること。
そうする事で、自分の「ちょうどいいゾーン」に戻ったり、ゾーン自体を拡大し良い状態をキープできます。外的リソースと、内的リソースが存在します。
前日考えた自分の関心の、さらに奥にある想いを探り起こす作業です。
自分の活動の源や支えとなるリソースを知る事で、現在の自分の状態を意識し、また自分への問いを明確にする事ができました。
私がパッと出てきたのは内的リソースであり「並列した関係、争いのない平和状態」でした。
外的リソースとして”赤い衣服”を挙げ、赤がパワーを持っている等語る人もいて、それぞれでした。
そのリソースを思い起こした時に、心の中に起きた変化を言葉にし、今の自分がどういった状態なのかを、改めて自分で知覚しました。
各々のストーリーを語り”境界を超えて繋がる”

「根っこの想い、ありたい自分、取り組んでいる事、取り組む際の悩み」を四人一組となり語り手、インタビュワーやメモ係などに別れて、共有する。
こうする事で、さらに客観的に自分のやりたい事、やるべき事を顕在化させます。
自分の根っこはもちろん自分にしかないという当たり前の事を知り、誰かの根っこにある想いの大切さを受け取りました。
一人の悩みにみんなで向き合い、答えを複数導き出す
「自分自身が未来の為に、どうすればいいのか?」の悩みに対して、スタッフ一人一人が順番に参加メンバーと席を合わせ、フィードバックと問題解決手段を話し合います。これぞ財産!と私は本気で思いました。
先を行く先生達が客観的に私の悩みに向き合ってくれます。一人の問題を、みんな事にする工程の中で、いくつも実践的な答えを導き出しました。
そして、各々のアクションにたどり着く
最後は、各々のコンセプトワンとプロトタイプアクションを決意表明する。
・コンセプトワンとは
自分が標榜する行動の為のコンセプト。
・プロトタイプアクションとは
とりあえずやってみる為の実験的アクション。
ちなみに私のそれぞれの決意表明は下記になる。
「リスペクトを持って、先人ブロガーさんのやり方を徹底的にミラーリングする」
プロトタイプアクション
「アメリカの情報を翻訳し、先取り映画記事を11月中に5本書く」
という結論に辿り着きました。
地域おこし全く出てこない!と思うかもしれないが、私の悩みは「自分が地域で感動したものを書くことが、お金に繋がるのか?」という問題でした。
そこを前述のフィードバックにて
「お金を稼ぐ事と、自分がやりたい事は分離させても良いのではないか」
「営利と非営利活動をはっきり分けている企業も存在する」
というアドバイスを経て、この結論にたどり着いたのです。
「自分の好きな事でお金にしなくちゃ!」と考え込んでいたが、それが難しいなら無理に創造するなど考えず、別枠で捉えてみれば良いのだと教えてくれました。別枠でやり続けているうちに、やりたい事の方が話題になることもある。と山田さんが語る説得力はすごかったです。
まとめ
結局のところ、”とにかくやってみよう”といういつもの話に収れんしますが、そこに至るプロセスや大量の意見交換、フィードバックは無意味ではありません。進化思考のメソッドは、あらゆるアイデア出しに応用出来るものです。何より、同じように悩んでいる仲間との語らい、先を行く先輩達からの助言を24時間受け続ける事ができる価値はとても貴重です。濃厚で気づきと実践力に満ちた合宿でした。

最後に集合写真をパシャり
※本記事のほとんどの画像は、信州移住計画たつみかずき氏より頂戴致しました。