「THE BATMAN-ザ・バットマン-」感想・考察、印象的だった5つの赤色の意味を解説

2022年最注目作品の一つ。バットマンシリーズの最新作!マット・リーヴス監督曰く「フィルムノワールとして始まった」というだけあって、ダークでリッチな世界観が特徴的だ。

私が本作を観て最も印象的だったのは、ゴッサムシティを包む黄昏の美しいオレンジ、夜の街に灯る焼けるような暖色ライト、爆発の炎などからなる赤色と暗闇の漆黒の対比である。

映画としての素晴らしさを感じるシーンに、この対比が抜群の効果を発揮していた。そして、それぞれの赤色には本作の世界観やテーマに結びつく意味があったように思う。ここでは、その意味を紐解きながら本作がどんな作品なのかを解説していく。

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作品詳細

監督:マット・リーヴス
脚本:
マット・リーヴス
ピーター・クレイグ
原作:DCコミックス「バットマン」
製作:マット・リーヴス
出演者:
ブルース・ウェイン/バットマン:ロバート・パティンソン
セリーナ・カイル/キャットウーマン:ゾーイ・クラヴィッツ
エドワード・ナッシュトン/リドラー:ポール・ダノ
ジェームズ・ゴードン警部補:ジェフリー・ライト
カーマイン・ファルコーネ:ジョン・タトゥーロ
ギル・コルソン検事:ピーター・サースガード
アルフレッド・ペニーワース:アンディ・サーキス
オズワルド・“オズ”・コブルポット/ペンギン:コリン・ファレル
音楽:マイケル・ジアッチーノ
撮影:グリーグ・フレイザー
編集:ウィリアム・ホイ
製作会社:DCフィルムズ
配給:ワーナー・ブラザース・ピクチャーズ
公開:2022年3月4日(米)、2022年3月11日(日)
上映時間:175分

【あらすじ】
青年ブルース・ウェインがバットマンになろうとしていく姿と、社会に蔓延する嘘を暴いていく知能犯リドラーによってブルースの人間としての本性がむき出しにされていく様を描く。両親を殺された過去を持つ青年ブルースは復讐を誓い、夜になると黒いマスクで素顔を隠し、犯罪者を見つけては力でねじ伏せ、悪と敵対する「バットマン」になろうとしている。

ある日、権力者が標的になった連続殺人事件が発生。史上最狂の知能犯リドラーが犯人として名乗りを上げる。リドラーは犯行の際、必ず「なぞなぞ」を残し、警察や優秀な探偵でもあるブルースを挑発する。やがて政府の陰謀やブルースの過去、彼の父親が犯した罪が暴かれていくが……。

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※ネタバレします。ご注意ください。

1. シックに荒廃を感じさせる焼けるような街の灯り

世界観に没入するために特に貢献していたのは、漆黒の暗闇と雨と街の暖色だろう。この3つを掛け合わせたシーンがとにかく多い。中でもシックに荒廃した雰囲気にさせる輝く暖色のライトは印象的だ。落日の都を予感させるとともに、夜の闇の力強さを強調していた。

街内の移動、部屋での捜査、キャットウーマンとの初対峙では叙情的なロマンスを感じさせるなど、あらゆるシークエンスで効果的な役割を果たしていたと思う。

2. 夜になる前の美しい夕陽

街の灯と呼応するように本作で何度も出てくるのは夕景のゴッサムシティを見下ろするバットマン。彼は美しい夕焼けに包まれる我が街に何を思っていたのだろうか。

マット・リーヴス監督はムービーウォーカープラスのインタビューの中で

「本作は、バットマンが“覚醒”する映画にしたかった」

と語っている。

黄昏時は昼から夜へと変わる時間帯であり、夜の闇こそがバットマンの時間だ。黄昏時はそのままブルース・ウェインがバットマンへと変わる時間帯を意味する。

バットマンのコスチュームで夕陽を背にする姿は、まだヒーローになりきれていない本作のテーマそのものを表しているシーンだといえるだろう。

3. 炎と銃火の赤は怒りと恐怖の象徴

バットマンといえば、真っ黒なスーツで漆黒に紛れつつ、肉弾戦で悪を討ち滅ぼすのがトレードマーク。予告編でも明示される通り、本作のバットマンは復讐の化身であり、悪にとっては恐怖の対象である。

この怒りと恐怖を体現した襲撃演出が実に冴えている。中でも抜群のシーンが2つある。一つは、クリストファーノーランも度肝抜かれる重量車両大爆発のカーチェイスの末、炎から立ち現れるバットマンの黒いシェイプ。

2つ目は、マフィアのボスであるカーマイン・ファルコーネのアジトで、漆黒の中あらぬ方向へ飛び跳ねるマシンガンの細かい火花と、わずかに視認できるバットマンが敵を薙ぎ倒しながら、進んでくる姿だ。

観た人に「一番好きなシーン」を尋ねれば、このいずれかをあげる人は少なくないだろう。最高にクールな演出で、バットマンの在り方を見事に体現していた。銃や炎という悪党にとって、最も身近な2つを恐怖の対象に変えてしまう存在感は圧巻だった。

4. 恐怖から「希望」の赤へと変わる瞬間

本作の素晴らしい点は、闇の中の赤色が恐怖と怒りから、ラストで一転して希望の色に変わること。暗闇の中、人々を救うために発煙筒を灯すバットマンはまごうことなき善意と勇気の象徴だ。

信頼できないどこか妖しい仮面の人物が、いち救助者として希望の道標に変わる瞬間を見事に発煙筒の赤色が示していた。

5. 黄昏から朝日へ

さらにラストシーンでたたみかけるのが朝日の淡いオレンジだ。文字通り「夜は明ける」と私は受け取った。街にとっての「希望」や「救済」を感じさせるものだったのではなかろうか。

劇中何度も登場する黄昏と夜の闇の中で過ごしてきたバットマンが、ここでようやく朝日の中で人々に受け入れられ役割を見出すのは、ベタだが胸を熱くさせる。

朝日の中で生きる人を知った彼が、再び黄昏時に現れるのは今までとは大きく意味が異なる。この朝と夕の2つの赤色対比に、これぞヒーローとしてのバットマンの成長を確かに感じたのだ。

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