映画「シング・ストリート」大好き感想・考察 「メロディがきらめく瞬間とは」

※一部ネタバレ致します。

シング・ストリート公開ポスター

かなりざっくりあらすじを書くと
主演のコナー少年(フェルディア・ウォルシュ=ピーロ)が、年上の美人ラフィーナ(ルーシー・ボイントン)
に近づく為にバンドを始め、メンバーと共にいい曲作りまくって
MVを目当ての女の子と一緒に作ってめいっぱい青春しちゃうお話だ。

主テーマは、コナー少年がバンド活動と恋を通じて成長する姿を描いている。
もちろん描いている。

でも私が感じた本作の良さはそこじゃなかった。

前置きなしで、早速私が拳を振り上げて「最高だぜ!」と言いたくなるところを紹介したい。

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「メロディがきらめく瞬間」を見事に映像化している

本作は、本当に音楽への愛情に溢れた作品だ。

掃除機を使って声を変えたりするエピソードはほほえみが止まらないし
要所要所出てくる懐かしの音楽の使い方も抜群だ。

そして本作の特徴的なところは、バンドメイトとの曲作りシーンが何度も出てくるところだ。

バンドものの映画といえばスクール・オブ・ロック。邦画だとリンダリンダリンダ、古くは青春デンデケデケデ。
などの名作があるが、スタジオでの曲作りを丹念に描いた作品はあまりない。
バンドの一番美味しいところは、もちろんステージだからだ。

例えばこんなシーン。

コナーがあるメロディを弾き語る、それに鍵盤のメロディを乗せるエイモン(マーク・マッケンナ)。
さらに他のメンバーがエレキギターやベースの音を重ねていく
…そしてつぼみが花を咲かせるかのように、曲が生まれる。

それは、バンドが生み出してしまった新世界創造なのだ。
その瞬間こそ、音楽の(創造の)喜びの描写なのだ。

なんでかって、その瞬間の心の高鳴り。
声のひと震えが、ギターの単音がグッドメロディへと立ち上がる瞬間こそ
素晴らしい瞬間なんだとジョン・カーニー監督は知っているのだ!

きらめく瞬間はそれだけに留まらない。

そうだ!MV(ミュージックビデオ)撮影だ!
夢見る少年少女達がろくな知識もお金もなくて
見よう見真似で撮るMVは、荒唐無稽のはずなのになぜかまぶしい。
「これが俺たちの思うカッコ良さなんだ」と精一杯奏でてる。歌ってる。
くだらない世の中を睨んでる。

見てると、胸の中にこみ上げて来る何かがある。
心の中じゃずっと拳を振り上げてたし(実際ニヤついてたし)
メロディに乗せて肩揺らせてた。

そして何より!!
届けたい誰かの為に作った歌が相手に届いちゃった瞬間!!
青春のビッグバンです。この輝きを見る為に俺は生きている!
そう本気で思える位、とんでもないきらめきを発してた。

現実じゃそう思っても、本当に届いたのかどうかなんてほとんど不明だけど、
映画なら相手の描写も出るから観客として分かっちゃう。

コナー君、届いちゃってるよ!そのグッドソング、ラフィーナ嬢にビシバシ届いちゃってるよ!!
ってシーンがもう

最高かよ!!

スコア(楽曲)がいい

映画の感想としては、反則ですけどね
もう本当に彼らが劇中作ったオリジナル曲(ゲイリー・クラーク作)全部良いんです。

しかも、エビソードに混ぜるように80sロックの名曲まで使ってくるから
本当にずるいんです。
私80sロックって劇中使われた曲でまともに知ってたのキュアー位でしたけど、オリジナル曲は名曲揃いだったと思いますので洋UKやUSギターポップやUSインディー系好きなら納得のクオリティを担保します!(勝手に!!)

兄貴がいい

コナーの兄ブレンダン(ジャック・レイナー)が本当にいいキャラなんです。
困った時コニーはいつでも兄に相談します。

ラフィーナを口説く為にコナーがデュランデュランのコピー演奏をやったら
「他人の曲で女を口説くなよ」と一蹴。
「ロックはリスクだ。人に冷笑される覚悟を持て」と
初めて演奏して撮ったデュランデュランコピーのテープを壊しちゃうシーンが最高。

素行が悪く乱暴なのに、いつだってコナーの背中を押してくれる。
こんな兄貴が私も欲しかったよ。

監督がインタビューでこの映画は自身の少年時代「あの時、こうしたかったけどできなかった事」が全て込められてる映画なんだ。
と語っています。

現実というのはなかなか映画のようにはいかない、それは分かっているけれど
それでも全部が全部何も叶わないわけじゃない。
この映画に込められた「きらめく瞬間」達はきっと、監督自身がどこかで感じた事のある事
なのではないかと私は思う。
(あるいはこの映画の撮影中だったのかもしれない)

それは映画の最後にクレジットされたテロップ
「すべての兄弟に捧ぐ」という一言を見て思い至った事だ。

別に音楽じゃなくたっていいんですけど、何かで自分を表現しようとした事のある全ての
人へのジョン・カーニー監督なりのエールであり、アンサーだと私は受け取りました。

懐かしさや甘酸っぱさに想いを馳せる映画では決してなく
未来へ目を向けさせてくれる珠玉の青春恋愛映画でした。

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