映画「ローガン/LOGAN」ネタバレ感想・考察 「一匹の男の晩年と愛」

※一部ネタバレ致します。

LOGAN公開ポスター

これは、死に場所を探し求めていた男の晩年を描いたロードムービーである。

マーベル作品として観るより、むしろ並べて語るなら許されざる者、シェーンのような往年の西部劇である。
ジェームズ・マンゴールド監督も、今までのマーベル作品と全く違うものにする為、ローガンという人間を描こうとしたらそれらがイメージとして挙がったとインタビューで答えている。

「あらすじ」
ウルヴァリンことローガン(ヒュー・ジャックマン)が、すっかり老け込んで運転手などしている未来でローラ(ダフネ・キーン)という同じ能力の少女を悪党共から逃がす為、もうろくした90歳のプロフェッサーXことチャールズ(パトリック・スチュワート)と共に逃避行の旅に出る話。

そんなわけで先に言ってしまうと、監督とヒューの思惑通り今までのスーパーヒーロー物とは全く異なった傑作なんだけれど、どこがそんなに違うの?って方の為に良いところをまとめてみました。

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キャラクターの人間描写が半端じゃない

とにかく本作のローガンは人間味が半端じゃない。
監督はインタビューで、「本作に取り掛かるとき真っ先に考えたのはローガンが最も恐れているものは何か?という事だった。それは未知でも、死でもなく愛だったんだ」と告げているように
とにかく、ローガンが誰かに抱く愛や、チャールズやローラが向けて来るそれを
どう扱い、またどう受け止め、返すかが大きなテーマになっている。

そのために描かれたローガン像に私は目をみはった。
トップシーンで早速登場するがヒーリングファクターも効き目が鈍くなり、身体が弱って来ていた。
足などひきずり、それが心にもキてきているのか、とても疲れて枯れた印象なのだ。

爪を出したのに、近所のチンピラにボコられるウルヴァリンなんて!
(まあ結局、まとめて八つ裂きにするんだけど)とにかく全盛期に比べて弱々しい。
更に!介護に疲れているウルヴァリン。
夜はあまり眠れない、爪を最後まで出せない、ずっと咳をしている、傷がなかなか治らない。
ともはやそこらへんにいる晩年期のオヤジじゃないか!
寂しすぎる気持ちをこちらに抱かせるローガンだが、それだけ身近な存在になったからこそ
病気や死といった誰しも向き合うだろう問題が彼にも迫っている事を否応なく意識してしまう上手いつくりになっている。

過去に愛する人や仲間を何度も失い、人と心を分かち合う事を止めてしまった一匹狼のローガンだが結局悪党に襲われるローラを見捨てられず何日も車を走らせてしまう性根に彼の生き方を見る。
それと同時に、X-men最初期からの仲間であるチャールズと自分のDNAによって生まれた同じ能力を持つ11歳のローラ
二人共がローガンの人生を振り返らせるような存在であり
そんな三人の旅の中でローガンは二人に何を伝え、為すべきかを問う旅でもある。

チャールズとの会話では「今日は人生最高の夜だった。私にもこんな夜が来ても良いのだろうか」と問われ
ローラには、映画シェーンのセリフをもじって「(人を殺した事を)受け止めて生きろ」と短く伝える。

殺伐とした、無縁仏になるかのような生き方を選んだローガンだったが、ラスト、自身の衝動の先に彼はようやく愛を知る。
これぞ万感の想いと言える見事なラストです!

R15の痛みを感じるバイオレンス描写が生生しくてグー!

デットプールも真っ青の血飛沫飛び散る、容赦なく急所に爪刺すバイオレンス描写が
重々しくダークな世界感とマッチしてます。
何より痛みを感じさせる事でローガンの今までの人を殺しまた傷をつけ続けた人生をあらわしているのだなあと感じました。

土埃立つ男くさい舞台がアツイ

西武劇にインスピレーションを受けた為、ほとんどが乾いて荒涼とした舞台やセットでしたが、それがとってもツボでした。
これは現代の西武劇なんだ…と哀愁に浸れる見事な舞台。
ニューオリンズとニューメキシコの夏に撮影したそうだけど、スーパーヒーロー物に必ず出てくる未来的な秘密基地や
悪のアジトが全くなくて、悪側はテントだったりカジノだったり、未来感描写は偵察用ドローンヘリと無人オートトラックで
表現してるのは素晴らしかった!
しかも服装もローガンは黒服か、Gジャンにブーツってのも良い。
実に統一された世界感でしたね。
ローラだけが、少し外してピンクのユニコーン柄のTシャツを着てて
(でも、ローガンとお揃いでGジャンも着てる)も地味にアツい設定だったなあ。

ローガンが最後に知ることのできた愛を実に見事に表しているのが下のパンフ写真。
(パンフの裏側写真です)

LOGANパンフ裏

マーベルのスーパーヒーローとは思えない渋い男の人間ドラマでした。

これ単独でも全然、観れるけどX-MENを少しでも見た事ある人はこれを見て綺麗に完結させて欲しいです。
17年間、本当に有難うござましたヒュー・ジャックマン。

最高だったぜ。

ちなみのおまけだけど、エンドロールで流れた曲は
ジョニー・キャッシュ「the man Cames Around」。

「お前の腕の毛は逆立つだろう/飲んだり食べたりする度に訪れる恐怖に/お前は最後の酒杯を分かち合えるのか/あるいは無縁墓地に消えてくのか/その男が来ればわかる」

 -(映画秘宝7月号より引用)

最後まで染みるね。

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