「せっかく来たならウェルカムな人と組んで」長野安曇野 移住支援・受入れ側インタビュー第二弾

長野県安曇野移住受け入れインタビュー第二弾は、安曇野で最初のコワーキングスペースを開かれた篠原さんにお話をおうかがい致しました。

プロフィール:篠原寛行(シノハラヒロユキ)= 通称しのさん

しのさん

・パソコン教室あづみ野代表。
・安曇野コワーキングスペース管理人。
・しの389安曇野(農家民宿)宿主。
・パクチー銀行安曇野支店ATM支店長。
・安曇野シャルソン(ソーシャルマラソン)主催、etc.etc

という多彩な肩書きを持っていらっしゃる安曇野一のマルチワーカー(たぶん)。しかも、パソコン教室はなんと1999年より開設!長野県どころか中信越地方最速のIT文化伝来者だったのではないでしょうか。

安曇野市堀金(旧堀金村)に生まれ現在50代でいらっしゃいますが、大学4年間北陸で過ごした後に帰省、以降はここ安曇野に住み続けている生粋の安曇人です。

会場はもちろん、安曇野コワーキングスペース。

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ーでは、よろしくお願い致します。

篠原さん(以降しのさん):よろしくお願いします。

ーいきなり移住から脱線しちゃうんですが、一体どうしてそんなに多彩な肩書きを持つに至ったのですか?

しのさん:広がったのはシャルソンからだね。7年前にネットで見つけて面白そうだから安曇野でも始めたら、色々繋がって、パクチー銀行を紹介してもらい、これも面白そうと思って始めた。コワーキングスペースの話も聞いて「すぐやりなよ」と背中を押してもらい ー そんな風に人の繋がりがどんどん増えて広がっていった。面白そう、やれそうと思うものはすぐ取り入れたよ。

シャルソンとは、

ソーシャルマラソンの略。世田谷区経堂にあるパクチーハウスのオーナー佐谷恭氏が創設。参加者は同じTシャツを着て街を走るイベント。自分で決めたルートを自分のペースで走り、報告会の乾杯時間までにゴールすればOKという“自由過ぎる”ランニングイベント。タイムやスピードではなく、体験を競うマラソン。元気や楽しさ、ワクワクを写真・動画・コメントでSNS共有する。
一日を通じて得られる、ひとりひとりの特別な体験を持ち寄ってさらに楽しく広げるためにパーティ(報告会)でシェアします。

ご当地シャルソン協会(シャルソン Cialthon =ソーシャルマラソン ) - 「いいね!」1,772件 - International Cialthon (soCIAL maraTHON) Association.

しのさん:シャルソンは、普段は行かない場所や通り過ぎてしまう場所に目を向ける機会になるし、皆でゴールするからコミュニティが必ず生まれると思った。しかも我が家の目の前には、長くて立派なマラソンコース(安曇野ハーフマラソンのコース)もある。もっと有効活用しようと思って始めた。参加者の年齢も小学生から70代まで幅広く20名〜40名程度の方が参加しているよ。

ーなるほど!シャルソン!初めて知りました。とても面白そう!マラソン3日坊主の私でも続けられそうだ(笑)。

ちなみに無理やり繋げるんですが、シャルソンは移住して来た人と地元の人との繋がりの場にもなっているのでしょうか?

しのさん:その垣根は全く意識してないなあ。ただ移住して来た人が、繋がりを持ちたいという意味ではとても良い機会になると思うよ。

ーシャルソンから様々なコミュニティが広がっていったんですもんね。めちゃくちゃ実になるアドバイス有難うございます!

ー話を戻して移住して来た方に対して、うまく付き合えるか不安を覚える事はありますか?

しのさん:全くない。むしろウェルカム。

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「俺自身がウェルカムになったのは、過去のある恐怖から」

約20年前、子供の声が街で聞こえない事にふと気づいたんだ。周りを見回すと高齢者が増える気配ばかり。自分達のコミュニティが消滅する未来が目の前に見えた。とても怖かった。

その5、6年後、ちょうど造成が始まって家がバンバン出来た。人が沢山来たよ。そうしたら町から子供の声が聞こえて来るようになった。嬉しくてねえ。心からホッとしたよ。やっぱり子供の声が聞こえないようじゃ駄目だ。そう思って以来、ずっと移住して来る人はウェルカムだし、若い人が面白いと思って来るような事を沢山していかなきゃと思っているよ。

ー安曇野市の地方全体として”移住ウェルカム”という風土が出来上がっていると感じますか?

しのさん:それは木戸(隣組)によるよ。ウェルカムな人もいれば、閉鎖的な人もいる。

ー木戸(以降 隣組)というのはどんな自治体なのでしょうか?

しのさん:昔(江戸時代)は、色々なものはまだ個人で賄える時代じゃなかった。農作業、子育て、地域儀式、色々な事を近所の隣家で助け合う必要があった。それが現代でも続いている。御近所同士の相互扶助的な意味合いを持つ小さな自治体だ。

ーこの地方にはどこにでもあるものなのですか?

しのさん:呼び方は地区で違ったり(常会など)するし、規模感も違うけどこの安曇平(松本梓川以北〜信濃大町までをさす)には大抵あると思うよ。

ー隣組の費用は一体何に使うものなのでしょうか?

しのさん:冠婚葬祭用、地区の神社維持費や公民館費、新年会、懇親会など。けれど集金の方法は隣り組ごとで違う。月一律いくらのところもあれば、行事類はその都度というところもある。

ー移住者の方は皆さん入られるんですか?

しのさん:それも地区による。市町村ではなく自発的な組合だから市役所では案内出来ない。「入るのをおすすめしますよ」くらいは言うみたいだけど…。だからバラバラ。引っ越して来た人が入ったかどうかを調べる仕組みは存在するから、うちの地区の場合は入ってなければ(隣組)評議会役員が話して入るかどうするか、聞くようにしている。

「いさかいが起きる時は、相手を尊重してないとき」

評議員役員は順番に回って来るんだけれど、俺に回って来た時はきちんと規定を印刷したものを渡し、約束事、メリットデメリット、隣組とは関係ない事ある事(ゴミステーションは市の管轄だから関係ない。など)を説明し入るか、入らないかを検討して選んでもらうようにしていた。2組話したけれど、どちらも入ったよ。

だけど、これが出来ない隣組や人がいるのは事実。

「うちは皆入っているから入って」「そこの集合住宅からは入れない」ただそれだけ。

情報もろくに開示せず、選択肢もなければ溝が出来るのは当たり前。

地元側は「新しい人は隣り組に入ってくれない。冷たい」

移住側は「よく分からないけど入らされると、こんなに金を払うのか」

よく聞く声だけれど、その内情は説明不足と選ぶ権利を奪った事によるんだ。

内容を理解して、納得いかないから入らない。

別の隣組に知り合いがいるからそっちに。というならそれでも全然いいんだ。

「それじゃあ立ち行かなくなる」なんて声も聞くけれど、そんなのやってみたら分かる。

うちの地区は、近隣の隣組と合併を持ちかけて実現させた。

そういう工夫が出来ないでずるずるいってしまったところは、維持費も高い、役が回って来るのも多いと不満が噴出している。それでも、そんな隣組は新参者が会議で提案するのも空気的に難しい。その調子で、この先どうするんだろう…と思うよ。

ー”相手を尊重”何事にも通じる本質的な事ですね。思考や視野が狭まると特に出来なくなってしまう。私も耳が痛いです。

しのさん:中には必ずオープンな人間がいるから、そういう人を見つけて欲しい。今はネットの時代だからそういう人は大抵なんらか発信してるし、地域のイベントにも顔を出す事が多い。繋がりができれば相談もできるし、シャルソンみたいな面白い事も産まれる。

ー話は変わり、2015年から始めた農家民宿の事をお聞きしていきたいと思います。先ほど、造成時の嬉しい思い出を話していましたが、どうして農家民宿を始めたんですか?造成とは真逆の地域開発手段のように思いますが。。

しのさん:それから時が経って人がいなくなるということ、少子高齢化はもうどうしようもないと悟る時があったんだ。その影響は、家や土地いろんなものが余るって事。いわゆる”割れ窓理論”の一歩手前という感じ。それを実感として感じるようになった。

 割れ窓理論とは
われまどりろん、英: Broken Windows Theory)とは、軽微な犯罪も徹底的に取り締まることで、凶悪犯罪を含めた犯罪を抑止できるとする環境犯罪学上の理論。「建物の窓が壊れているのを放置すると、誰も注意を払っていないという象徴になり、やがて他の窓もまもなく全て壊される」との考え方からこの名がある。(wikipediaより抜粋)

しのさん:割れ窓理論を回避する為には、余っているものを使って人が来るようにするのが一番だった。人が来ると分かると掃除するようになる。それは家でも地域でも一緒。賑やかにもなる。うちも母が高齢で亡くなった。畑は誰も手をつけない。放っておけば荒れ放題。近隣に迷惑になるから草刈りは結局しなくちゃいけない。じゃあ有効利用しようじゃないか。という話だ。土地があって、畑があればとにかく種を蒔けば、出て来る。

ー以前に、農作業の経験はあったんですか?

しのさん:全くない。全然分からなかった。そんな状態の1年目でいきなり農家体験をしたいという子供達の受け入れを始めたんだ。子供達に正直に言って助け合いながらやったよ。まだ3年目だけど色々な人に聞きながらやれている。なんとかなるもんだよ。

ー現在、安曇野市では都市部の中高生向け農家体験合宿受け入れを行なっているそうですが、どのくらい受け入れをしているのでしょうか?

しのさん:1年で10数校受け入れる。安曇野にある農家民宿は60軒近く。1校でバス数台来るのを各民宿で3〜6人程度受け入れて回すんだ。一般の方向けの農家民宿もうちも含め10軒近くあって増え出しているよ。

「地域資源を生かして、人や資金の自立循環を促し、活力ある地域づくり」の構築実現に向けた公式サイトです。

(安曇野地方できっかけとなった松川村の受入事業)

ー農家民宿が60軒近くもあった事にびっくりしているんですが、どんな方が、主に受け入れ民宿を経営しているのでしょうか?

しのさん:もともと民宿の人、農家が本業の人、それこそ移住してきて農家民宿を始めた人なんかだね。

ー逆に農業に興味を持って移住して来てみたら、地元の農家の方と繋がれない。困った。という話を以前聞いたのですが、農家民宿全体で連携は取れているのでしょうか?

しのさん:農家民宿としては、きちんと有機的に繋がっている。農業を専門的にやっている受け入れ宿もあるし、移住してきて農家民宿を始めたところもあるよ。これも多分、人によるところだろう。自分の田畑をどんな風に使われるのか分かったもんじゃない。勝手にいじられて、商品台無しにされちゃ困る。という感覚の農家の方に借りるのはやっぱり難しい。それは農業したい移住者でも農家民宿を始めるのでも一緒だ。

ー移住者の人が来て、自分の生活も変わった。というところはありますか?

しのさん:あまり意識はないかな。シャルソンやパクチー銀行、コワーキングスペース、民宿を始めてから、人との繋がりは爆発的に変わった。面白い人に沢山出会って一緒になって面白い事を続けてる。けれど、それは自分から行動していたからこそ変わった部分だと思うよ。

ーお話を聞いていると、この家は、パソコンやコワーキング等の専門的な施設じゃなくて、しのさんのオープンな感性を生かした、”人と地域の可能性を広げる場所”として機能しているんですね。だから私も自然と足が向いたのかなと思います。

しのさん:そう言って頂けると何よりだね。

ー最後に移住して来る方、移住を考えている方へ一言。

しのさん:深く考えなくてもいいと思う。「移働」(場所を移りながら働く、テレワーク、リモートワーク)の時代だから。大切なのは本人の考え方。せっかく来たならウェルカムな人と組んで面白い事をやってみてもいい。どこに行っても人間関係やご近所トラブルはある。今の時代、選べない事は大きな不自由だから、そういう人からは離れて、自分で選んでとにかく動いてみる事が一番じゃないかな。

ー思いの外、本質的な人間論が主になってしまった感がありますが、大変面白い話でした。しのさん、長々有難う御座いました!

篠原さんのマルチワークのうち二つを下記にてご紹介!

しの389 安曇野(農家民宿)Shino's Farm Inn azumino、長野県 安曇野市 - 「いいね!」199件 · 20人が話題にしています - しのさんがやっている交流するBnB農家民宿のfbページです。 修学旅行で農業体験に訪れる中高生の受入れ宿としてスタートして、世界各国の方がご利用になります。
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