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晴れて「安曇野cocinema」初上映する事が出来た。
思いっきり民家だったし、色々な機材も足りない。
備品もほとんど私物をやりくりしたウェルメイド感全開と言えば聞こえはいいが、とにかく開いた。という感じだった。
本当に「来てくださった御客様」「映画を作ってくれたクリエイターの方」「配給のハードルをぐんと下げて出来るようにして下さったpopcornのみなさん」「場所を貸してくれた安曇野コワーキングスペースのしのさん」感謝に絶えない思いです。
先日、信濃毎日新聞MGプレスというミニコミ誌で取材もして頂きました。
様々なルートでこの記事を読んで下さった方、本当に有難うございます。
初回上映までの軌跡レポートを始める前に、始めた理由について簡単に触れておきます。
[前置き]長野県安曇野で映画館を開く事になった三つの理由
簡単に触れておきます。
ー文化的な施設として、ご当地映画館はあった方が良い。
2、なのに歴史価値の高い空き家はしこたまある。
ー崩すだけなのは、相当もったいない。
3、安曇野は美術館、記念館等のミュージアムが日本一密集している。
ー文化芸術という観点では高い文化水準や観光資源がある。
という三つの理由を掛け合わせて、映画館を作ろうという事になりました。
ちなみに前置きの前置き。私と映画の関係について、ご興味あれば下記へ!
私がなぜ東京都から安曇野市へ引っ越したのかについては下記へ!
①、安曇野コワーキングスペースとの出会い
とてつもなくスムーズというより、店主しのさんに背中を押される形で始まりました。上記の理由を語ったところ、じゃあひとまずうちでやってみれば?
と言って始まったのでした。
コワーキングスペースは、民家の一部を活用したものだったので、私の空き民家を使ってのイメージとも合致していました。
②、めちゃくちゃ便利な映画配給システムPOPCORNマイクロシアター
ナカムラケンタさんと大高健志さんが代表となり2016年7月に設立したよる日本全国だれでも自分の映画館(マイクロシアター)をつくることができるサービス。
・初期費用ゼロ。
・入場者数に応じて上映料が発生する。
・権利処理されている作品のみ。
・データ管理、インターネットによるストリーミング配信。
・もっと“みんな”で楽しむ新しい鑑賞体験を生み出す
・上映作品の寿命をなくす為の作品ストック群
・観るだけじゃない多様な映画体験の発明を促す
・日本最大級のクラウドファンディングサイトMotionGalleryとの連動
こちらは以前にWEBのインタビュー記事を読んだ事があり、観る側としてよくサイトをのぞいていました。
という言葉に深く共感し、利用させてもらいました。
本当にハードルが低いし、どうやっても赤字にならない仕組みにはビックリです!
では始めるにあたり用意したものをご案内。
③、popcornへの登録作業で揃えたものリスト
《3-1、高速wifi環境》
ー私の持っているポケットwifi(wiMAX2+のspeedWi-Fi NEXT W04 ハイスピードモード)では画像が止まる瞬間があり、駄目でした。
ーコワーキングスペースでしたので、光回線が引いてありそちらをそのまま活用。
(光回線でお悩みの方には下記さるわかさんのブログめっちゃわかりやすかったです)
《3-2、プロジェクター》
ー当初、エプソン社のEB-S04 で試したところ対象外との事で、別シリーズを新たにオーナーが購入し直して下さいました。(この対象基準は現在不明ですので、都度確認となります)
《3-3、スクリーン》
白い大きな壁があれば、それで構わないが存在しなかった為100インチスクリーンを購入した。
ちなみに5000円以下のスクリーンの最大サイズは150インチ
《3-4、ステレオアンプ》
ーJBL J216PROをオーナー様がお持ちでしたのでこちらを使用。
※スピーカーについては、会場の広さによって対象が変わってくると思いますのでご注意ください。
参考までに仕様も掲載。
方式 2ウェイ・2スピーカー・バスレフ方式・ブックシェルフ型
ユニット 低域用:16.5cmコーン型
高域用:2.5cmドーム型
許容入力 60W(連続プログラム)
インピーダンス 8Ω
出力音圧レベル 87dB/W/m
クロスオーバー周波数 3.6kHz
外形寸法 幅294x高さ375x奥行235mm
重量 8.2kg
スピーカーで悩む方にはもれなく沼が存在します。資本力のある方々は、下記も参考にしても面白いかと思います。
《3-5、パソコン》
ストリーミング配信からプロジェクター射出、ステレオアンプとの接続が絶対条件となりますのでほとんどノートPC一択となります。(オール無線or延長コードなら別ですが…プロジェクター向け延長コードは接続機が別途必要だし。。。)
私が使ったのは、mac book air(13インチ)です。
(先日リリースされた最新のではないですよ)
【こちらは無線さんの参考までに】
無線プロジェクター
無線スピーカー
非常に奥深いのがスピーカー沼ですので、キリがありませんが
・Bluetooth(R)対応
・完全無線化
・「ドルビーアトモス(R)」「DTS:X(TM)」対応
は魅力的ですね。
ただ、無線は音切れが各地で報告されていますので、個人的には買い替えるなら有線(&AVアンプ別売)パッケージシアターサウンドシステムの方を揃えたいです。
《3-6、遮光カーテン》
ー初回から昼上映でしたので、どうしても必要でした。(夜から上映の場合は多分なくてもなんとかなる)コンセプトカラーが緑だった(ともともと家にあった)ので、黒ではなく淡い緑に統一しましたが、上映当日は遮光面では全く問題ありませんでした。
《3-7、シアター名、シアター説明文》
ーサイト情報として必要になります。コンセプトの洗い出しやら、目につくキャッチやらここは根幹を成す部分ですので、だいぶ悩みました。
《3-8、メイン画像、ロゴ画像、アイコン画像》

安曇野コシネマロゴ
ーいずれもjpegでokでした(もちろんロゴはイラストレーターのaiデータ入稿も可)。
これも当然持ってないので、当日をイメージした会場レイアウトを作り、会場画像をメインに据え、ロゴは別途作成しました。
会場画像はおいおい宣伝やらなんやらで使い道多いので、内観、外観、宣伝ショット、ロゴ写しスクリーンやら結構撮った方が吉!
他のシアターさんを観るとフリー画像とか好きな画像とかの方もいますが圧倒的に内観が多いです。
アイコンはfacebookと同じです。
ロゴ作成ソフトはlogopop を使いました(macの方のみ)
イラストとは無縁の人生だったので、かなり基本的な操作しか行っていませんがそれなりのものが出来ましたよ!
以上が、最低限必要なものです。
ありものをかなり使えたので買い足し自体は、プロジェクターが型落ち機を用意頂いたので不明ですが、7000円程度でしょうか。
全て一から揃えようと思うとギリギリ基準値内で全部で13万くらいかかると思います。プロジェクター、PC、スピーカーはピンキリなんでなんとも言えませんが…
④、補足で揃えたものリスト
《4-1、macとプロジェクターを結ぶライトニングケーブル》
ー細かいですね〜。細部まで説明しますよ!mac使いは仮にproだとしてもcタイプUSBなんで、変換ケーブル必須ですね。私は純正じゃないのにしました。特に不具合はありません。
《4-2、会場用椅子》
私物のオールドカリモク椅子、オーナー私物のソファにコタツ、回転椅子とフル動員してやっとこ20席です。
座布団スタイルなところもありますので、ここら辺は個性が出るところですね!個人的にこれから揃えるなら、断然キャンプ椅子をお勧めしたい。
深く落ちる座り心地の良さ、ドリンクポットのついた肘掛、コンパクト収納、外上映でも使える。しかも価格もお手頃。とお得要素がいっぱいある。内観の雰囲気に合えば美味しいぜ。
《4-3、布類》
色々見えると不都合のある家具やらプロジェクターやらPCやらを隠す為に結構必要でした。これは完全にありもので完結。用途によりきりですね。
《4-4、粘着テープ、画鋲類》
ーカーテンとスクリーンに主に使用しました。DIY魂の見せ所ですね。
《4-5、看板》
ーすでに木看板があったので、ロゴを印刷して貼り付けておしまいにしてしまいました。きちんとしたハンドメイド看板を作るか、今後の課題です。
《4-6、各種SNSアカウント、プレスリリース》
ーfacebookページを主力にし、twitter、Instagramと作成、本ブログにも固定ページを作り、地元報道陣向けにプレスリリースも作成し、流しました。(MGプレスさんの取材はこの甲斐あってです)
プレスリリースは下記サイトにて雛形を作り、wordに仕上げてFAXしました。
facebook: @azuminococinema
Instagram: azumino_cocinema
twitter: @cocinema2
《4-7、フライヤー(チラシ)》
ーなんだかんだと紙媒体での販促も必要だ。という事で作成しました。
使ったソフトは、canva です。
オシャレ過ぎるテンプレートばかりで、カッコよくなり過ぎてしまう事とデフォルトの日本語フォントが絶望的に少ないのが問題ですが、フォントはアップロードもできるので、全く問題なかったですね。
めちゃんこオシャレなポスター編集サイトですよ。
印刷は、プリントパックが安くておすすめ!
《4-8、駐車場(の芝刈り)》
ーニッチすぎる話なんですけれど、地方の場合、全員車かもしれないので、その分の駐車場になる土地を探すところから始まり、次にその土地はどなたの持ち物なのか調べ、お借りできるか頼む。オーナーの知人の土地が空いているらしい!貸してもらえそうだ!となって、車がすっと入ることができるよう草刈りをしました。20台分の駐車場を確保するって結構大変。
⑤、作品選びについて
私はオーナーではない為、イベンターに招待してもらったのちに作品を選べるようになる。
約850円、約1000円、約1300円など様々な価格設定が作品ごとでされている。
これにその他の諸経費等々を上乗せして売価を決める。
ちなみに作品にないリクエストも出来るとのことだが、サイト更新等のタイミングなどがあるとしばらく出来ない。
私のリクエストは10月中旬だが、予定では年明け以降に可不可の返答があるとの事…
あるものから選ぶということになる。
ジャンルとして強いのは、ヒューマンとドキュメンタリーだ。この2ジャンル合わせて総数107本。
ついで、コメディ21本、SFファンタジー10本。他ホラー、ロマンス、アクションという感じ。
結構、現在公開中の監督の旧作や、話題になっているドラマと題材を絡めたものなどもある。
私も濱口竜介監督の「寝ても覚めても」公開中に合わせ「ハッピーアワー」を流す事が出来た。
⑥、チケット購入について
作品も決まり、サイトに作品情報や上映時間、場所等を書いて公開したらあとはチケットを売り、宣伝するだけとなる。
ただし、チケットはpopcornサイト上での前売りのみとなる。
当日現金販売ができないので、注意が必要。
映画権利者との兼ね合いなのだろうか?こちら側としては少しやりづらいルールだと思う。
⑦、上映に際しての注意点
《7-1、上映データが当日ギリギリまで飛んでこないので、結構テンパる。》
ー他動画でスクリーンとプロジェクターの枠内微調整を合わせていたが、作品が変わると比率も微妙に変わるからこの調整が結構大変だった。
《7-2、オーナーの方には来場名簿、再生ボタンは出てこない。》
ー上映データと合わせて来場名簿も飛んでくるのだが、イベンターのみにしかこれらの情報は来ない。仮にイベンターが一人だった場合はスクリーン調整と来場チェックを一つのPCで同時にこなさなければならないという鬼の所業。もう一度言いますが、結構テンパる。
※別PCで、同じ名前でログインが出来るのかは今後、要検討。試せてません。
《7-3、ポインターが消えない!》
ー上映10分前くらいまで格闘してました。
・macの場合:Control+Option+K
と説明書に記載頂いておりましたが、消えません!正に初回あるある!原因不明ですが、結局Mousehiderという有料アプリを落とし事無きを得ました。
下記のソフトなら無料で消せるようです。
(キャプチャーが不気味すぎて私はやめてしまいました)
《7-4、自動通知のオフ、自動プラグインの停止が結構時間かかる。》
普段気にかけていませんので、意外にどれが自動なのか確認するのに手間取ります。
私はちなみにしくじりました。前述のギリギリにダウンロードしたMousehiderが自動でアプリ評価機能を立ちあげて大画面に表記。一気に冷や汗が吹き出してきました。二度とやりません。ご安心を。
《7-5、上映前の注意事項ご案内は自分で言います。》
ーmotion gallery のCMの後、ノスタルジックなブザー音
「これより本編が始まります」の文言画面が流れ、本編となります。
つまり、その前の映画の観賞マナーについて&No more 映画泥棒
は自分でやらなくてはなりません。
No more 映画泥棒は一人三役なのでかなり辛いですね!
(私は僭越ながらパスさせて頂きました)
観賞マナーについては、TOHOシネマズがまとめてくれてます。
っていうかyoutubeにあるので、これ先に流せば良いのでは?
※著作権的にはかなり微妙ですので、使う場合は自己責任で。
ベスト回答は、これらを調べておいて自作動画作るか、自前でアナウンスですね。
私はアナウンスでした。
《7-6、終わるときは、勝手に再生ボタンが中央に表記され止まる。》
ここで電気をつけて、速やかにプロジェクターの窓を閉め閉幕となります。
⑧、閉幕後は歓談タイム
多くのマイクロシアターがそうなように、安曇野cocinemaも閉幕後のシェアタイム、コミュニティ育成を大切にしています。
アットホームな空間が元々できていると、自然と会話は生まれます。
終わった後、感想を共有したい人は案外多いものです。
まとめ
いかがだったでしょうか?まるで自分も映画館を始めたかのような気持ちになったのではないでしょうか。
色々と物的な準備、コンテンツの用意等ありましたが、純粋なコストとしては色々持っていた(というかありものでどうにかした)事もあり1万円かかっていません。
これで一応にも利益を生み出せるスタート地点に立てるのはまさに格安!ハードルはめちゃくちゃ低いです。
告知や企画の弱さ、当日の失敗等、反省点多数ですが、色々やりたい事、改善したいこともあり、これからがとっても楽しみです!
「幕末太陽傳」お楽しみに!