おすすめマンガ 富士山さんは思春期 全巻感想「日常を共に過ごす中学生カップル」

※結構ネタバレ致します。
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富士山さんは思春期8巻表紙

読み終わってからずっと、富士山さんのことを考えている。とても日常の雰囲気に満ちた余韻を感じさせる青春ハイティーンラブストーリーである。

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基本情報

作者 オジロマコト
出版社 双葉社
掲載誌 漫画アクション
レーベル アクションコミックス
発表号 2012年12月18日号 – 2016年1号
発表期間 2012年11月20日 – 2015年12月15日
巻数 全8巻

「3秒あらすじ」
中学2年生の男子(上場)と幼馴染の高身長女子(富士山さん)の二人が付き合い、初々しく交際する1年間(3年の初夏)の時間を切り取った学園青春恋愛物語。

フェチズムに満ちた描写の数々が素晴らしい

まあタイトルの時点でフェチズムが溢れでちゃってるですが、本作はもうフェチズムの塊です。

・スクール水着の上から制服を着ちゃう富士山さん。
・Tシャツの形に日焼けした分け目が襟元からチラチラ見える富士山さん。
・大荷物を持っている時、カバンに服が引っかかりわずかに地肌のお腹をさらす富士山さん。
・背中に指文字を書いてふざけあう時に、上場君が富士山さんのブラを意識してしまい指を恐る恐る伝わらせる。
・冬は富士山さんに黒タイツを履かせたり、かといって熱いと前髪あげた髪型にしてみたり。
・富士山さんがジャージを脱ぐシーンがなぜかアップ画。(しかも背中(というより肩甲骨!)や伏し目やTシャツをまくった(脇!)に力入ってる)
・後ろ姿のお尻はきちんと形が分かる大きめな安産型だったり

そんな部分的な肉感を、詳細に描きここぞとフォーカスしてくるんですね!部位フェチにはたまらんですね!
中学二年生にしては、明らかに熟れてるスタイルなのも無防備な仕草や台詞回しとのギャップで楽しめるのもまた一つのフェチかもしれませんね。

これを、上場君の目線として見せる事でエロさや変態さよりもむしろ初々しさを感じるのが本作の上手いところ!
(ラッキースケベを求める諸君にも応えてくれるシーンは数多くあるぞ!)

思春期フェチシーン
※4巻より抜粋。

季節感のある背景に、センチメンタルな描写がめちゃんこ上手い

背景はリアルでありながら、そこに漂う何気ない、だけどただの一度しかないその日その時を切り取るのが凄まじく上手い。
・木陰の陰影のつけ方
・それぞれの雲の形
・水たまりに映る下校中の女子学生達
・ネット越しに見える夕焼けのグラウンド
・野草が路肩に茂る田園路地
・電車が通過する夜の踏切
など背景選びの巧さに、書き込みの丁寧さはさることながら留まらない部分(あるいは永遠に感じるような一瞬)を大切にしているように感じます。ここら辺はよつばとなんかとも通じるところがある背景描写だと思う。
余白や映画の長回しのような風景描写がエピソードの間、間に挟まって来るのが、最高に余韻を感じる。
一つ一つの出来事が地続きながら、その時その場所でしか起きない事なのだと絵が語ってくれる。
何気にここは本作の地味に素晴らしい点なのではないかと思う。

そしてキャラクターの表情やセリフ毎で余白の取り方も抜群に上手いからとにかく余韻が毎話ごと半端じゃない。富士山さんはモノローグが一つもありません!セリフ以外の部分は、全て表情と仕草、あとは風景演出のみで描写されています!
だからエピソードとしての大きな出来事(三角関係やら友情、親との不和)なんかなくても、恋愛漫画、青春日常マンガとして本作は十二分に魅せてくれる。

中学生らしい友情と恋愛の間のような健全な関係からなるピュアな恋愛模様がドツボ!

まあ基本私、ピュアに弱いんです。すぐ心を撃ち抜かれちゃうんですけど本作がなかなか巧妙なのは、上で書いたフェチな富士山さんの肉感描写から上場君は決して目を離さない。むしろじっと魅入っちゃったりするくせに、あんな事やこんな事の妄想は全く皆無なんです(ラッキースケベはあるけど)。健全な中二男子はもちろん猿みたいなもんですから、ここは相当、初々(ウイウイ)補正がかかってるわけです。でもこの手探りにほんのちょっとずつ前に進んで感じがとても中学生らしさを感じていいんです。
ケータイでのやり取りじゃなくて、メモ帳を投げ合ったりさりげなく渡しあったりするコミュニケツールも思わずニンマリな青春ウイウイアイテムです!

また、上場君が男らしさを出してうんと手を突き上げてあいあい傘をしてみたり、下駄箱一番下の扉の上に乗って富士山さんと話したり、橋の欄干に登って富士山さんを抱きしめてみたりといちいち身長差萌えポイントを稼いで来るのもとても斬新でした。
私は男ですから、頑張れ上場君!ってなもんでしたが、階段や塀なんかを使えば簡単に目線は合わせられるのですがそんなありきたりな描写を使わないところに本作のユニークさが溢れています。
それに、決して上場君は何かを使っても富士山さんを見下したりしない。富士山さんも常にそうだろうに、上場を見下すような描写はない。二人の関係は身長こそ違えど、あくまで同じ目線なんです。こういう部分が非常に優しさを感じ、また現代の漫画だなあと思わせます。二人で階段をヨーイドンで駆け上がったり、並んで図書館で勉強したりする。等身大な美しい関係です。

富士山さんの神対応が良い子可愛い過ぎる

まあ結局これに尽きるわけなんですけれど、こんな子おれへんやろって位いい子ですね。
まず、道すがら富士山さんが子供に「大きい」って言われた時、両手をふんわりあげて見せて「うん。大きいよ」と応える(これが上場君をオトした神対応なんですが)
中二で身長180cmの女性はもっと鬱屈としたものを抱えてそうなところだが、彼女は優しく芯が強くそういう他人の無邪気な悪意に対して割と超然としています。
本当は気にしているのかもしれませんが、少なくともそれに落ち込んだり、本気で怒ったりという描写はなく、あくまでふざける程度で「こら〜」とやる位。とても大人な対応です。
それでいながら、修学旅行では富士山さんと話したいが為に、ずっと窓を開けて待っていたうとう顔の上場に対して第一声で「そこで寝たら蚊に刺されるよ」と微笑む優しくほっこりとした気遣いも出来る女の子でもある。上場の勇気や優しさに素直に喜び、感謝の言葉を言う事ができる出来過ぎた女の子。あまり一度に多くの言葉を離さないおっとりとした調子ながら、上場に手を引かれる形でゆっくりと恋する女の子に成長していく姿が描かれていくのはもどかしく、むしろ眩しくすらあります。
そんなところを楽しむのも、本作の突出した魅力の一つです。

富士山さん恋パート

まとめ

一言で言うと「肉感と余韻」なんですけど、メインはもちろん学園青春と「付き合うって何?」の丁寧な初心だと思います。とはいえ本作は気持ちのぶつかり合いは全くありません。あるのは、気持ちの分かち合いと育み合いです。燃えるような恋ではなくて、同じ目線で微笑みながら日常を共に歩いたり走ったり出来る愛情を描いてるんじゃないかと思います。そういった恋に触手が動く人にはもう是非是非なおすすめ作品です。

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