正解するカド 完結感想 ・考察「なぜ方向性を失い、バトル恋愛アニメと化したか?」

※ガンガン、ネタバレ致します。

正解するカド公式画像

東映アニメーションが誇る3DCGによるオリジナルアニメ。2017年春アニメです。
監督に「彗星のガルガンティア」の村田和也さん、脚本(シリーズ構成)にファンタジスタドール、日本SF大賞ノミネート作品「KNOW」の作家である野崎まど、プロデューサーに「楽園追放 -Expelled from Paradise-」をヒットさせた野口光一と気合の入ったSF作品ができる予感のする面子が集結した作品です。

「3秒あらすじ」
外務省交渉官の男が、異世界から突如来た生物との交渉の中でいくつかのオーバーテクノロジーな技術、装置をもらいそれを世界へ拡散させていく。フェーズが移行する中で異世界生物は人間を異世界に取り込もうとし、それを阻止、退治する話。

まずは何も言わずに本作の見どころポイント!

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未知のテクノロジーを受け取る過程が骨太なSF展開!

アーサーCクラーク等の大御所を思わせる地球外生命体との接触シーンの面白さは素晴らしい!
カドと呼ばれる謎の移動立方体にあらゆる物質的衝撃を加える過程、ヤハクイザシュニナと自称する異世界(本作では「異方」と呼ばれる世界)から来た人物から与えられる超テクノロジーの数々。

それはどれも現在の人間の科学、生物水準では手に出来ない凄まじいテクノロジーだが、それを与えらた人類はそれをどうやって扱うべきか?という所に本作の主眼が置かれている。
誰でも作れる上に発電施設なしで、無制限に電力を生み出し続ける装置「ワム」が一番初めに異方から人類に与えられたものだが、素直に受け取るべきか、どうすべきか?を議論するところから始めるところに本作の面白さがある。

世界的な影響力を鑑みて日本国としてどう扱うか、使用権限を持たせるべきか、等リアルな内容での議論をする。
通常SFといえば上記のような超テクノロジーを浸透させたことによって起こった世界の変化や考えの差異などを描くものが多いが、本作では「一体どのような変化がもたらされてしまうのだろう?」から観衆と共に考える事を主旨としている。その為の舞台として外務省の交渉官や首相等のポストが登場する。なかなか斬新だ。
(とは言え上のアーサーCクラークは実に60年以上前に「幼年期の終わり」でこの思考実験と呼ばれる試みを行っていたけど)そして選択の先に何が起こるのか?というサスペンス要素も加速していくので、むしろSF要素の美味しいところをあますところなく楽しめる作りだ。

未知のテクノロジーが持つ可能性の素晴らしさ

異方から与えれえるテクノロジーがとてもユニークで、そんなものが手に入ったら人間はどうなるのだろう??と思わせるような可能性が満ち満ちている。思考実験の要素が強いので毎度手に入れたらどうするかで議論、思案の1クッションを入れるので
どんどん前に進まず観客も可能性を十分に吟味する事が出来るのが本作の素晴らしいところだ。
それは未来を語り、人間の進化を促す行為そのものだ。
そういった意味での異方の来訪という作りを本作はしている。
まるで大規模なブレインストーミングのような高揚感を感じる作りである。

8話まではそんな感じでした。キャラクターについては結構皆さん役割を演じてるって感じでまあうん。って感じ。
そして9話に至り、本作は転落を始めます。こんなに面白かったのに何が起こったの?という位凄まじい展開になってしまいました。それはそれで楽しむ為に書きたいと思います。

異方から来訪者ヤハクイザシュニナがただ恋する変態お兄さんになった

8話までは人類を導く異世界からの超存在だったはずです。主人公真道は人類側(あくまで日本)の代表として”接触””交渉””交流”をしていたはずです。9話以降でもう一人の交渉官沙羅花とヤハクイザシュニナ、真道の三角関係に発展。嫉妬に狂うヤハクイザシュニナは真道のコピー人格を作り自分のだけの真道を作り出す始末。どうしたのだ?そんな恋のフラグはなかった筈だが?むしろ何をしに来たんだヤハクイザシュニナ?大量の疑問とチープさへ路線変更に働かせ続けていた未来への思考を止めました。
さらにヤハクイザシュニナは今までの平坦な超存在を感じさせるセリフまわしから一転、艶っぽい独り言や、激昂した叫びなど感情表現豊かになります。ここまでキャラを壊されるといっそ清々しい気すらして来ます。

ラスボスはヤハクイザシュニナ。バトルでケリをつけようぜ!展開

しつこいようだが真道は交渉官だった筈だ。三角関係に飽き足らず、さらにバトルまで始めてしまう。然ヤハクイザシュナの手から出て来た光るブレードはなんなのか?斬月?次元刀?烈火の炎に砕破ってのもあったね。何かの力を解放した感じッスね。そして真道をバリア的なもので守る沙羅花。なんだよ!二人とも異世界の戦闘民族だったのかよー、初めからちゃんとそう言ってくれないと分からないじゃないかー。9話目以降思い切った舵切りに、別の楽しみ方が生まれました。つまり、このアニメはあと3話でどこまで壊れるのか?

沙羅花と真道の娘が超高次元存在でヤハクイザシュ二ナを瞬殺する!!

もはやフォーマットがドラゴンボールです。最終話での新キャラ投入。しかも強さのインフレ構造が生まれているのが逆に凄い。もう1クールやったら異方からより高次な存在が来て「ヤハクイザシュニナは我らの中でも最弱…」と始まった事受けおいです。多くの疑問には触れませんが率直にいってジャンプ風展開にニヤニヤが止まりませんでした。

ヤハクイザシュニナ「止められるだとっ!フレゴニクスもなしに?」
娘「フレゴニクスは宇宙と異方の間の齟齬(そご)。入るのが下手だから出たものよ、相互の理解が正しければそんなものは必要ない」
ヤハ「クッ、ありえん!こうなったら宇宙ごと消し去って…ぐわあッ」

どうですか、この会話!最高ですよ!最終回は終始こんな感じです。

主人公真道はなぜか死にます!

駄作の条件に多く入っている「やけに主要キャラが死ぬ」要素をきっちり掴んでます!
ヤハクイザシュニナ、真道という二人の主人公がもれなく死にます!なぜ死なのか?死ぬことのメリットデメリットを十分に検討したのか?思考実験アニメだった筈が、なぜこの部分は思考が止まってしまったのか?神の見えざる手を感じずにはいられません。

主人公デッドエンドは不思議と必ずこの演出になりますが真道が死んだのに仲間達や沙羅花は晴れやかな顔をしています。
もちろん青空ものぞいています。

本作はそれだけでは飽き足らず、最終回で突如現れた娘がいた筈ですが、ろくに話もせずに飛び出していってしまったそうです!しかも沙羅花のセリフで説明!本当は娘じゃないんじゃないのか?とすら思わせるドライさにびっくり仰天です。

まとめ

なんとなく書いていて9話以降部分の方が筆がのっていた気がする。だが8話で怪しくなって9話で完全に逆に面白くなってしまったが7話までは思考実験を私も楽しんでいた。未知のテクノロジーが導く新世界、その代償を一生懸命考えていた。SFの面白いところと駄作の面白いところをよく掴んだお話だった。

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